「タバコ肺ガン説」は本当?

お酒という嗜好品のお話をしたので、食品ではありませんが、タバコについても言及しておきたいと思います。

「タバコはニコチンやタール、一酸化炭素など有害なガスを体内に取り込むことになる、だから、タバコは有害である」というのがタバコ発ガン説の根拠です。タールという物質そのものは代表的なガン因子であり、 ニコチンは心臓に悪影響を及ぼす物質です。

しかし、このように単純に切って捨てるのは早計ではないかと思います。タバコを吸うということは、有害と目されている物質のみを体内に入れるということではなく、タバコの葉を燃やすことによって生じた複合成分を全体として受け入れるものですから、喫煙が有害かどうかは、別の角度からも検討する必要があります。

物事の本質を知ろうとする時は、そのルーツをたどってみるのが手っ取り早く、確実な方法ですが、これはタバコにも当てはまります。そもそもタバコというものは、人類の歴史とともに古くからありました。もし、現在言われているように有害なものであるとすれば、とっくの音に消えているのではないでしょうか。少なくとも、現在まで、世

界中の多くの人たちによって、連綿と喫煙習慣が引き継がれてきたということは、それだけの効用もあったからではないでしょうか。

たとえば、メキシコ・インディオであるウィチョール族の男性たちは、聖地もうでが何千年ものあいだ、重要な生活行事になっています。険しい山道や灼熱の砂漠などを越え、二週間あまりの時間をかけて、男たちは聖地にたどりつくのですが、その時、彼らが持参するのは「トウモロコシ粉」と「水」と「タバコ」だけなのです。タバコが加えられているのは、速効性のある疲労回復剤として重要だからとの理由です。

確かにタバコには、いくつかの有用性も認められます。たとえば、精神的・肉体的な疲労を回復させてストレスを解消できること、利尿作用、腸の嬬動運動の促進、異常食欲の防止、興奮抑制、欲求不満の解消などに大いに役立ってくれます。ところが現代社会では、発ガン物質の筆頭に挙げられ、嫌煙権はどんどん拡大され、公共の場でタバコを吸える場所はほとんどなくなりました。

しかし、興味深いデータもあります。ドイツでは、タバコのニコチン、タールの総量は年々減少しているのに、肺ガンの発生率は逆に年々増加しているというのです。これはドイツだけではなく、日本にも当てはまります。低ニコチンの軽いタバコが多くなってきており、喫煙者も減っているにもかかわらず、肺ガン患者は増えています。

それに、まったくタバコを吸わない人でも、肺ガンや心臓病になっている人はいます。これはどう説明すればいいのでしょう?

以前、フ一コチンやタールが野菜の成分で消える」という実験結果が話題になったことがありました。これは、野菜に含まれているビタミンやミネラル、酵素などが、有害物質を分解処理する作用をもっており、タバコに関しても有効ではないかというものでした。

このようなデータや事実を総合的に判断しますと、タバコが体にとって「有害」なものになるかどうかは、結局、その人の体質によるものと思われるのです。

血液をきれいにして、穀物・菜食の「自然医食」を日頃から実行していれば、タバコの有害性は消去されるので、「適煙」なら問題ないということなのです。ですから、私自身も「適酒適煙」にしています。

せっかくの嗜好品です。有害説にビクビクしていたのでは、おいしくありません。 一日に一〇本以内と決めて、ストレス解消に役立てたいものです。

このように酒やタバコを含めて、嗜好品というものは、もともとは善でも悪でもありません。体と接触した時点で、いろいろな作用があらわれるのですc体質や体調がいい時は、疲労回復や心の安定、呼吸機能の賦活や頭脳の活性化というようにプラスに働きます。

しかし、体質や体調が悪い時には、喉を荒らしたり、胃の粘膜を荒らしたり、肺に炎症を起こしたり、血行を悪くして肌を汚したり、タバコ有害説でいわれるようなさまざまなマイナス作用があらわれます。つまり、そのどちら側の作用があらわれるかは、結局はその人個人の体質や体調の問題なのです。

嗜好品の持ち味や有効性を引き出せるように、普段から「自然医食」で自分の体質を調整。強化しておくことが必要です。それができていれば、嗜好品の有用性を得ながら存分に楽しむことができるのです。

グルジアの一〇〇歳長寿者(一〇〇歳を超える長寿者)たちの中にも、 ヘビースモーカーは何人もおられたし、ヨ〇〇年以上、毎日吸い続けてきた」というつわものもいました。ン」ういう事実を目の当たりにすると、つくづく現代人はひ弱であると感じます。