食品添加物大国。日本


日本人は加工する技術にすぐれた民族であると思います。そのため、バラエティーに富んださまざまな食品が市場に出まわり、その食品が劣化しないように合成保存料などを加え、「鮮度」を保ってきました。

おかげで、いつでもどこでも、同じような食品が手に入り、利用できるようになりました。

しかし、その代償は、とてつもなく大きく、「健康」という大切なものを手放すことになってしまったのです。

昭和30年代初頭、即席めん(袋めん)が登場しました。これがインスタント食品時代の幕開けであったと思います。短時間でできて手間要らず。そうした便利さが受けて、その後もインスタント・カレー、インスタント・コーヒーをはじめ、カップめん、 ハンバーグなどの加工食品、さらにはレトルト食品や冷凍食品がたくさん登場しました。

しかしこれらの食品の中には、着色料などの食品添加物がどっさり入っているものが多く、これが私たちの体の中に蓄積し、ガンを発生させることになってしまったのです。

たとえば、昭和三〇年代後半から工場で大量生産されるようになったハンバーグは、本来は挽肉を焼いた料理ですが、日本では、肉だけではなく、大豆タンパクや魚肉など、いろいろな材料を混ぜることが法律で許されています。

おまけに、そこには保存料のソルビン酸や素材がバラバラにならないようにくっつける結着剤のピロリン酸、ツヤ出し剤の他に、発色剤、香料、酸味料など、あらゆる添加物が加えられました。

あるものが多く、その後、使用が禁止されたものもありますが、現在も引き続き使用されているものも少なくありません。このような食品添加物満載の食品は、その種類を問わず極力避けなければなりません。

ガンは「血液の汚れ」によって発生する病氣ですが、それ以外にも次のような因子も関与すると考えられます。

それは、化学的因子(合成化学物質)、物理的因子(放射線)、生物学的因子(ウィルス)などです。このうち化学的因子である合成化学物質は、私たちの生活をすっかり包円してしまっています。

農業では農薬や化学肥料、畜産では抗生物質ホルモン剤、そして、加工食品には食品添加物、それ以外にも殺虫剤など、その種類は数え切れないほどです。

これらの中には毒性がはっきり証明されているものもあれば、よくわからないまま使用されているもらもたくさんあります。

それら多数の相乗作用(複合汚染)となると、どんなことにな七年に日本でも刊行され、「環境ホルモン」の存在を広く知らしめることになった『奪われし未来』(シーア・コルボーン他著、翔泳社)を読んでいただくと、ごく微量の合成化学物質が、ガンだけではなく、アザラシやイルカの大量死をはじめ、人間の精子を減少させるというように、生物全体の生殖機能を脅かしているという事実に愕然とします。

もはや、合成化学物質をなくすということはできないかもしれませんが、少なくとも、体の中に入れることだけは極力避けたいものです。