食事のパターンを「穀・菜食」に変える

 

現在、日本人の食事は自米や自パン(ラーメンやうどんなど精白粉食品も同じ)を主食にし、副食(おかず)は肉類を中心にしています。そこにサラダやおひたし、和え物など付け合わせの野菜を加えたものが、 一般的な食事のパターンです。このような食事では、ガンが発生するのもやむを得ないでしょう。

人間は本来、穀・菜食性動物ですが、後に狩猟採集生活をするようになって、少しばかり肉食をするようになってきたのです。特に日本人が肉を積極的に摂るようになったのは戦後のことです。日本人の生理になじまないのも当然の話でしょう。ですから、白米・肉類が主軸の食事パターンをやめて、玄米を中心とした穀・菜食のパターンに変えることが絶対的に必要なことです。

ここでひとつ、興味深いお話を取り上げておきましょう。

二〇世紀初頭、第一次世界大戦時に海上を封鎖され、食糧が輸入できなくなったデンマークは、当時の食糧大臣であり、栄養学者でもあったヒントヘーデの指導のもと、牛、豚、鶏など国内の家畜をすべて処分しました。

彼は穀物や野菜など、家畜に与えるはずの食糧を、人間にまわそうとしたのです。家畜に餌を与えて、食肉にするためには、大量の穀類や野菜が必要です。たとえば、 一キロの肉を作るためには、少なくとも七~八キロの穀類が必要で、大変不経済であるということをヒントヘーデは知っていたのです。

デンマークは酪農国ですから、国民はこの政策に不満を抱いたことでしょう。しかし、この政策によって、デンマークでは病気が激減し、平均死亡率が大幅に減少するという歴史的な健康時代を迎えることになったのです。一方、デンマークとは逆の政策をとったのがドイツです。

栄養学者ルブナーは「穀物や野菜などの植物性食品を動物に与えて食肉と化し、それを食べて敵軍を蹴散らそう」と気勢を上げたものの、結果はその逆に。慢性疲労や病気が蔓延し、結果、ドイツは敗戦国となりました。

この歴史的教訓からみても、人間にとってほんとうに必要な食物は肉類などではなく、穀類と野菜類であることがわかります。まず、この点をしっかり覚えておいていただきたいと思います。